国家の品格

東京では、桜が満開になりました。
 長く寒い冬にじっと耐え、春になると一斉に見事に咲き誇る桜の力強い美しさには生命力を感じますね。

 今、100万部を超えたベストセラーとなっている藤原正彦氏の著書『国家の品格』を読み、深い感銘を受けました。
 久しぶりにかつての日本人の考え方が明瞭に描かれている本を読んで何ともいえない懐かしい気持ちになったのは、私が両親から受けた教育が思い起こされるからなのだなあとしみじみ感じました。

 藤原氏が青年の頃、アメリカで数年間過ごし、アメリカの論理の応酬に憧れた時期を経て"日本"の情緒(この場合の情緒は、喜怒哀楽のように誰もが持っているものではなく、懐かしさとかもののあわれといった、教育によって培われるもののこと)や形というものの大事さを実感したと本にありましたが、私も若い役人時代にアメリカに留学し、藤原氏と同じ経験をしたこともあり、共感を覚えました。

 人種のるつぼであるアメリカでは、国家を統一する為には全ての人種に共通のものである"論理"に従い、自分の意見をハッキリ主張しなければならなりません。合理的でわかりやすいアメリカ流の考え方に共感を示す若者の気持ちもわかります。
 しかし、今の日本では、合理的な金銭至上主義に走りすぎ、昔から日本が大事にしてきた情緒、武士道精神を軽んじすぎているように思います。
 その風潮が弱肉強食主義を推進していると思います。
 今、小泉政権が目指している改革は、弱い立場を切り捨てる改革であって、皆が幸せになれる改革であるとはとても思えません。

 これからの日本に必要なのは、かつての日本人が持っていた気高い精神、道徳心を取り戻す教育を行ない、慈愛の精神をもって周辺諸国と協力しながら共存していくことだと思います。

 『国家の品格』は、そんな戒めを呼び起こしてくれる一冊でした。